しろくまピースの物語
 新年あけましておめでとうございます。お正月に放映された今年26歳になるピースは、愛媛県立とべ動物園で飼育されているメスのホッキョクグマです。小さい頃は動物園の飼育員、髙市敦広氏の4人家族に、団地で大切に育てられていた時期があり、その映像をご覧になった方も多いのではないでしょうか。実はこのピースのお母さんバリーバも、34歳という国内最高齢のホッキョクグマとして、ピースの隣のスペースで飼育されています。しかしバリーバは初めての出産で子どもの育て方が分からず、二頭生まれたうちの最初の子どもを傷つけてしまったそうです。そして二頭目のピースも、頭をくわえたまま激しくおりの中を動き回り始めたのです。一部から”育児放棄”とも言われたこの行動ですが、しかし髙市氏は全く違う視点で捉えていました。「安全なところにこの子を連れていかなければというところで右往左往している様子だと思うんですよ。わが子っていう認識があるからもう傷つけずにくわえているという」。「子育てをできる環境を私たちが作ってあげられなかったというのが原因なんです。だからバリーバには何の責任もないというか、育児放棄ではないんです。育てようと思ってくわえてどっか安全なところはないかって探してますからね」。お屠蘇気分の日本では約9人に1人の160万人もの子どもたちが貧困状態とのこと。子育てができる環境の重要性を説く髙市氏の言葉が新年から重く響いてきたのは私だけでしょうか。