一隅を照らす
 いまから二年半前に、アフガニスタンで凶弾に倒れた中村哲氏の、映画『荒野に希望の灯をともす〜医師・中村哲 現地活動35年の軌跡』が上映されています。キリスト者であった先生の座右の銘は、伝教大師最澄の「照一隅」(一隅を照らす)でした。どんな小さなことでも自分の身近な周りを照らし、その明かりを広げていくという姿勢が、砂漠を緑の大地に変えていき、地元の願いに応えてイスラム神学校さえも建設したことで知られています。四十一年前にはローマ教皇ヨハネ・パウロ二世が来日し、仏教、神道、新宗教も含めた日本の諸宗教の代表者との集いの場で、教皇が「皆さんは、伝統ある知恵の継承者であり守護者です。……皆さんの偉大な教師である最澄の言葉を用いるならば、『無我、そして友情と慈悲の極致としての他人への奉仕』を人々の心に植えつけてきました」と述べたことが思い出されます。こうして現在も国内外の宗教者が一丸となり、宗派や立場を超えて世界に向け、平和への祈りを発信する比叡山宗教サミットが続けられています。いま、ウクライナをはじめとする世界各地の戦禍は止まるどころか悲惨さを増しており、国際的なYMCAによる国や宗教を超えた支援が益々重要になってきています。九十一年目を迎えた東京ワイズメンズクラブにおいても、いつでも戦争ができる世の中を目指すのではなく、共に一隅を照らす精神を大切にした社会を目指したいと切に願っています。

2022-05-27
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