2006年12月アピール: 若さについて

副会長 中村鐵五郎

 若さとは、人生のある時期のことではなく、心のあり方のことだ。若くあるためには、強い意思力と優れた構想力と、激しい情熱が必要であり、小心さを圧倒する勇気と、易きにつこうとする心を叱咤する冒険への希求がなければならない。サミュエル・ウルマン『80歳の歳月の高みにて』に収められている一節であり、「人は歳月を重ねたから老いるのではない。理想を失うときに老いるのである」と続く。けだし名言である。わが国は、かつて経験したことのない高齢化社会を迎えている。今、地域の公的な行事や、街のボランティア活動を支えているのは主として元気な高齢者の集団である。老いてもなお理想をもって社会の中で活躍できる若さは素晴らしいことである。一方、若者に若さがないのは問題である。若者の自殺や不登校、ひきこもりなど、共通しているのはいずれも理想・自信を失っていることに起因していることである。
 我々は、青少年の健全育成を主要な使命とするYMCAを支える団体である。「近ごろの若い者は……」と言う前に、若者に自信や希望を失わせしめている背景を理解し、その上で相当のサポートが期待されている。
(クリスマスにちなんでウルマンの「若さ」を贈呈)