ゴリラの信頼関係
 新年のお慶びを申し上げます。本日、多くのワイズが一堂に会することができることを深く感謝いたします。このように社会的なつながりを重視する野生のゴリラも、映画『キングコング』で描かれた姿とは裏腹に、争いを好まず、弱者には食べ物を分け与え、家族を持ったオスはよき父親として子どもの面倒を見ることで知られています。実はゴリラにとってのコミュニケーションでは、高度な言語を持たない代わりに対面で目と目を見つめ合い、相手の内面の動きをモニターすることが言葉よりも重要だといいます。現代に生きる人間たちの社会には、デジタル化の波が押し寄せ、瞬時に地球の裏側にさえもさまざまな言語が届くようになりました。しかし本来は、対面しての共同作業を続けてきた人間にとっても、そのような基本的なコミュニケーションは初歩的な信頼関係の構築には欠かせない日常の営みだったはずです。ゴリラ研究の第一人者で人類学者の山極壽一氏によると、このようなバーチャルな世界で脳をつなぎ合わせて生きるようになったからこそ、人間相互の共感能力の低下や信頼関係の喪失につながっているのではないか。さらにはSNS上での言葉が肥大化し、それが争いの激化につながっていくのではないかと示唆しています。年頭に当たり、デジタルツールを使いこなしつつも、リアルであるべき我々ワイズの働きのために、このことは常に心しておくべき点なのかもしれません。本年もどうぞよろしくお願いいたします。