江戸川ミニウォーキング報告

江口耕一郎

 3月31日(土)花曇りの午後、非公式行事ながら東京クラブ有志が集まって、江戸川ミニウォーキングが開催された。JR市川駅から京成金町線柴又駅まで約6kmのコースを、桜の花を愛でながら3時間かけてゆっくり歩いた。案内役は2人の地元住人、長澤(弘)メンと磯田メネットである。  まず市川駅から真間地区に入ると万葉文学散歩の趣で、説明板を丁寧に読みながら真間の継橋、手児奈霊堂、真間の井を巡り、急な石段を息を切らせて登ると弘法(ぐほう)寺の枝垂れ桜が迎えてくれる。ここからが国府台(こうのだい)で、満開の桜をたどるように、千葉商科大学の構内を突っ切り、国府台公園を横断する。県道から里美公園に至る小道の桜も見事。ヤキソバ、フランク、大判焼きの臭いが複雑に混ざり合って一行も足を止める。


[弘法寺の枝垂れ桜の前で]

 花見客で賑わう里美公園を抜けて国府台から降り、矢切地区に入る。国府台の合戦(1538・1564)に塗炭の苦しみを舐めた村人が、非戦の願いを込めて「矢切」と名づけたという。浄水場建設現場の横を通って、野菊の墓文学碑へ。矢切地区を舞台とする「野菊の墓」を執筆した伊藤左千夫の家の跡で、小高い丘の上にある。見晴らし良し。矢切の渡しへの道は長ネギ畑とキャベツ畑の間を行く。「農業車優先」の標識がのどかさを物語る。ここは日本の音100選に挙げられ、ヒバリやオオヨシキリの声が聞こえるという。


[矢切の渡し(千葉県側)]

 ひとり100円を払って渡し舟に乗船。さすがは舟で、船頭は24人の乗客を艪一本で向う岸へやる。寅さん映画は必ず、主題歌に合わせて江戸川土手を歩く帰郷シーンから始まるが、寅さんも今日私たちが歩いたコースをたどり、矢切の渡しに乗って来るのだろうか?
 下船して驚いた。東京側はまるで祭りのような賑わいである。今日のコースは寅さん記念館→柴又帝釈天と続くが、名古屋出張を控えた私は一行と別れ、寅さんよろしく柴又駅から旅立つのであった。しまった。どなたかメネットに、見送りの「さくら」役を頼めばよかった。

[参加者]
メン=江口、郡山、佐藤(茂)、長澤(弘)、松田、吉岡。
メネット=磯田、松田、山本、吉岡。(10名)。